続・架空未来「自動運転車のある生活」(その他:令和186)

(初出:21/01/21)

 はじめに、以下の話はすべて”架空の産物”であることをお断りしておきます・・・
 架空未来「自動運転車のある生活」続編です。
 
・・・
 
 「ロボカー、空を飛ぶ?」

 無事にA社との契約を終え、A社自社ビルから出てきたぼくは、ほっとひと息ついた。
 立ち並ぶ高層ビルの合間に、こま切れにしか見えない空を見上げる。
 空は、仕事がうまくいったぼくの気持ちのように、晴れ渡っていた。
 道路は、午後のビジネス街にしては、交通量が少なかった。
 流しのロボカーを探すが、見当たらない。
 しょうがないので、近くのロボカーステーションまで歩くことにする。
 ロボカーステーションは、昔だったら、タクシー乗り場と呼ばれていた場所だ。
 AIがレベル5で自動運転する技術が確立され、ロボカーが量産されるようになると、人が運転するタクシーは、ほぼ需要がなくなった。
 ロボカーはアプリから呼べるし、街角にあるロボカーステーションで拾ってもいいし、流しのロボカーもいる。
 ただ、すでに乗客のいるロボカーは相乗りすることはできない。
 他人と相乗りできるのは、ロボカーではなく、大型のロボバスだ。
 ロボカーとロボバスのちがいは、大きさだけではなく、行先の自由度も異なる。
 乗客の行きたいところへ連れて行ってくれるロボカーとはちがい、ロボバスは、あらかじめプログラミングされた区間内しか移動できず、停車する場所も決まっているなど、公共の交通機関としての意味合いが強い。
 ロボカーもロボバスもサブスクリプション契約だが、一般的な契約だと、移動距離には上限が設定されていて、上限を越えた分は従量課金されるから、乗り放題というわけではない。
 スマートフォンの課金システムと同じようなものだ。
 ちなみにぼくは、健康のためにもすこしは歩いたほうがいいので、わざと、距離が短めのサブスク契約にしている。
 歩いていると、ロボカーステーションは、すぐに見つかった。
 キラキラ輝く看板が目印だ。
 この看板は太陽光発電パネルになっていて、蓄電された電気はロボカーの動力に回される。
 と、ぼくは、そのロボカーステーションの看板パネルに、見慣れない告知が出ていることに気がついた。
「未来の乗り物! ロボスカイ、近日誕生!」
 かねて話題の”空飛ぶクルマ”の正式運行が近いというお知らせだった。
 そういえば、さっきのA社ビルでは屋上を工事中だったが、あれは、空飛ぶクルマ用のポートを作る工事だったのか。
 でも郊外ならともかく、こんな建物が密集したビル街で空を飛んで、もし落ちたら、どうやって責任を取るのだろう。
 ロボカーの場合、もし事故ったら、ロボカーの運用会社がもろもろの被害を補填してくれる。
 補填方法はいろいろあるが、現金よりキャッシュレス、キャッスレスよりロボカー運用会社で使えるポイント加算のほうが率がいい。
 ロボカー運用会社は巨大ITグループの一部門で、そこでもらったポイントはグル―プのサービス全般で使えるので、たいていの人はポイントでの補填を選ぶ。
 今や、住んでる家から病院まで、巨大ITグループの息のかかってないサービスはないから、必然的にそうなるのだ。
 もっとも、スピードも抑えられ、何重ものセキュリティで守られたロボカーでは重大事故の報告はほとんどない。
 しかし、鉄の塊が墜落してきたら、ただではすまないだろう。
 ロボカーに羽根がついた、あまりかっこいいとは思えない”ロボスカイ”のイラストを見ながら、ぼくはそんなことを考えていた・・・

・・・

 以上、レベル5の自動運転技術で動く車が普及し、多くの人が、それら自動運転車の運営会社とサブスクリプション契約している未来について、続編です。
 ちなみに、筆者が書いたショートショートはkindleにて発行されています。表紙は伊藤伸平先生。
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