(初出:19/09/11)
元号変われど、負の遺産・・・
駐禁の反則金を支払わないと送付されてくる、放置違反金の納付書。
この「放置違反金」の滞納は、平成の頃から問題視されていましたが、令和になっても解決していません。
19年7月、つぎのような報道がありました。
『神奈川県警は11日、違法駐車車両の放置違反金を多重に滞納していた県内15法人に対し、事業所の捜索差し押さえなどを実施した結果、95件の違反について計約165万円を徴収したと発表した。』
『県内の未納違反金は2018年度末時点で、約5億7600万円(約4万3千件)に上る。同課によると、捜索を受けた法人の中には「警察が差し押さえまでするとは思わなかった」として、捜索時などに自主的に納付に応じたケースもあった。』
出典:カナロコ by 神奈川新聞 19/07/11 (https://www.kanaloco.jp/)
4万件以上の未納、滞納額5億以上に対し165万円の徴収・・・
解決するどころか、むしろ膨れ上がっています。
じつは、「駐車監視員」制度が導入される前年2005年に、反則金支払いを免れた、いわゆる「逃げ得」は、駐禁をとられた件数の27%にものぼっていました。
いくら「駐車監視員」が駐禁を確認してきても、「放置違反金」が納付されないと、この「逃げ得」が復活してしまいます。
ただ、自治体も、手をこまねいているばかりではありません。
すこしまえになりますが、2012年、つぎのような記事がありました。
『愛媛県警交通指導課は10日、駐車違反金を長期間滞納していた今治市内の60歳代女性の乗用車を差し押さえ、計8万1000円を全納させたと発表した。同課によると、違反金の滞納を理由とした差し押さえは全国で4例目という。同課によると、女性は2007年2月~10年8月、5回にわたって今治市内の市道で駐車違反が確認されたが、100回に及ぶ電話や訪問による催促を無視して違反金を納付しなかったという。』
出典:読売新聞ウェブサイト 12/02/11 (https://www.yomiuri.co.jp/)
のべ100回とは、ずいぶん根気よく催促したものですが、よく読むと、2007年に確認された駐禁の放置違反金を、2012年に全納させたとあります。
なぜ、5年も続けていた催促をやめ、差し押さえに転じたのかというと、じつは、「放置違反金」の請求時効が5年だから。
今を逃したら、最初の放置違反金が時効になってしまうタイミングでの、差し押さえ処分だったのです。
「逃げ得」が発生しないように奮闘する、各自治体ですが、ただ、それでも、滞納問題が解決しない場合・・・
今は駐禁の確認だけですが、そのうち違反金の回収まで「駐車監視員」に委託するよう、制度の改正が検討されるかもしれません・・・