空飛ぶクルマ、新たなリスク(その他:令和261)

(初出:22/02/26)

空飛ぶクルマ、新たなリスク・・・

2022年2月24日、かねて緊張関係にあったウクライナに対し、ロシアが侵攻開始。

現在、世界中が固唾を飲んで事態の推移を注視し、戦争に関するおびただしい情報が飛び交っていますが、その中に、気になるニュースがありました。

首都キエフを防衛するウクライナ政府が、市民に「火炎瓶」を作るよう呼びかけるのと同時に、民生用ドローンの提供を求めているというのです。

ドローンといえば、先月、中東のアラブ首長国連邦(UAE)で、つぎのような事件があったばかり。

アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビの工業地帯や国際空港で17日、火災や爆発が相次いで発生し、インド人2人とパキスタン人1人の計3人が死亡、6人が負傷した。国営通信が伝えた。警察当局は「火災は両方の現場に落ちていたドローン(無人機)とみられる小型機によって引き起こされた」としており、何者かの攻撃を受けた可能性が高い

出典:時事ドットコム 22/01/17 「UAE首都に無人機攻撃か イエメン武装組織が主張、3人死亡」 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022011701035&g=int

市民から提供された民生用ドローンを、ウクライナがどのように使うつもりか明らかではありません。

侵攻するロシア軍の偵察に用いるのが主な目的ではないかと思いますが、もしかしたら、人が移動するには危険な地域で、薬品などの物資を目的地まで届けるために使用されるのかもしれません。

ただ、最悪のケースとして、UAEの事件のように爆発物を搭載し、敵軍のトラックなどに体当たりさせることも想定されます。

その場面を想像したとき、頭をよぎったのが、2001年発生したアメリカ同時多発テロ事件の映像。

ハイジャックされた旅客機が、ワールドトレードセンターに激突するシーンは、あれから20年たった今でも、鮮烈に頭に残っています。

当時もし、今のようなドローンが存在していたら、テロリストはわざわざ旅客機を乗っ取っとったりせず、そっちを犯行に使っていたでしょう。

さらに考えてみれば、世界各国で開発が進められている、空飛ぶクルマ。

例外はありますが、そのほとんどが、”空飛ぶクルマ”というより、”人が乗れるドローン”と呼んだほうがいいようなプロダクツです(参考記事:空飛ぶクルマの夢を見るか)。

自動運転とセットで語られることが多い、これら”空飛ぶクルマ”が、外部からハッキングされ、テロリストが好きに操縦できたら思うと、背筋が冷たくなります。

そんな羽目にならないよう、全世界の”空飛ぶクルマ”開発陣には、万全の対策を望むところですが、それにしても、まさか、”空飛ぶクルマ”が”空飛ぶ爆弾”に転用されるリスクがあるなんて、これまで考えたことがありませんでした。

ニュースで時々、駐禁の放置違反金を納付せず、出頭命令も無視した挙句、「”まさか”逮捕されるとは思わなかった」という事態となってしまうドライバーが取り上げられることがありますが、今回のウクライナのような”まさか”は、できれば現実化してほしくなかったです・・・