満を持して”空”へ進出 (その他:令和97)

(初出:20/01/18)

 動かざるごと山のごとしだったトヨタがついに動きました・・・
 以前から何度も「いよいよ出る」と、オオカミ少年のように噂されてきた夢の未来カー、”空飛ぶ車”。
 空の交通をめぐっては、日本でも2018年に経済産業省がロードマップを作成、2023年の事業開始を目標としています。
 しかし、ロードマップ作成にあたった「空の移動革命に向けた官民協議会」には、世界に名だたる日本の自動車メーカーの参加はほとんど見られませんでした。
 具体的にいえば、トヨタも日産もホンダもマツダもスズキも不在で、かわってANAや日本航空といった航空会社が顔を揃えています。
 唯一、SUBARU(スバル)の常務が参加していますが、この方も自動車メーカーとしてではなく、航空宇宙カンパニーのSUBARUとしての参加でした。
 じつは、同協議会の趣旨として謳われているのは、”空飛ぶ車”ではなく、”空飛ぶクルマ”。
 経済産業省が想定しているのは、 ”車”とは微妙にニュアンスがちがい、自動車というより乗用可能なドローンのようなイメージなので、既存の自動車メーカーに声がかからなかったのでは。
 世界に冠たる日本の自動車メーカー各社がハブられる中、「空の移動革命に向けた官民協議会」のメンバーであるNECは、昨年の「東京モーターショー2019」に”空飛ぶクルマ”試作機を展示。
 駐禁をとられて身動きとれない車のごとく、地上へ置いてけぼりとなる自動車メーカーを尻目に、”空飛ぶクルマ”業界への参入にいち早く名乗りを上げました。
 また先日ラスベガスで開かれ、 ソニーのコンセプトカー「VISION-S」が話題となったCES 2020で披露されたのが、韓国のヒュンダイ自動車がUberと共同開発している空飛ぶクルマ「S-A1」。
『S-A1 は、Uberが2023年にサービス開始を予定している航空ライドシェアサービス「Uber Air」で用いられる機体で、ラスベガスで1月7日(現地時間)から開催中のCES2020でコンセプトモデルが披露されています。』
出典:engadget 20/01/07 「空飛ぶクルマ「S-A1」のコンセプトモデルが公開。ヒュンダイとUberが共同開発中」(https://japanese.engadget.com/jp-2020-01-07-s-a1-uber.html)
 ここで名前が出てくるUberも、先の「空の移動革命に向けた官民協議会」のメンバーの一員です。
 このように色んな分野が続々と進出する”空飛ぶクルマ”業界、本家本元の自動車メーカーはどうするのかと思っていたのですが、ついに動いたのです。
『トヨタ自動車は15日、「空飛ぶ車」の早期実現に向け、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を手掛ける米新興企業ジョビー・アビエーション(カリフォルニア州)と提携すると発表した。3億9400万ドル(約430億円)を出資し、友山茂樹副社長をジョビーの取締役として派遣する。』
出典:JIJI.com 20/01/16 「トヨタ、「空飛ぶ車」で提携 米ベンチャーに430億円出資」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011600303&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit)
 トヨタの豊田章男社長は”空飛ぶクルマ”業界への参入を、「トヨタ創業以来の夢でもある」と語ったと伝えられています。
 動き出したからには、ムダのない”かんばん方式”で知られたトヨタのこと。
 風のように素早く行動し、先日発表された静岡にできる実証都市「コネクティッド・シティ」でも、”空飛ぶクルマ”の実証実験が行われるかもしれません。
 地上の自動車界を制したトヨタが、空中でも異業種のライバルを蹴散らし、主導権を握ることができるのか。
 産業界の熾烈なドッグファイト発生の予感がします・・・