免許返納とセット? 「特定自動運行」システム(その他:令和264)

(初出:22/03/11)

免許返納とセット? 「特定自動運行」システム・・・

令和4年3月4日、電動キックボードの規制緩和と同時に、閣議決定されたのが、「レベル4」の自動運転です。

政府は4日、特定の条件下で運転を完全に自動化する「レベル4」の自動運転車の公道走行を許可する制度を盛り込んだ道路交通法の改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。過疎地での無人自動運転による移動サービスなどを想定しており、早ければ2022年度内にレベル4の公道走行が可能になる見通しだ。

出典:日経新聞ウェブサイト 22/03/04 「自動運転「レベル4」解禁へ 政府、法改正案を閣議決定」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE034G70T00C22A3000000/

自動運転には、5つの段階があります(マニュアル運転をレベル0とすれば6段階)。

・レベル1=ブレーキ、加速、ハンドル操作のどれかをシステムが行う
・レベル2=ブレーキ、加速、ハンドル操作の複数の操作をシステムが行う
・レベル3=ブレーキ、加速、ハンドル操作全てシステムが行うがドライバー対応も必要

従来、道交法で認められていたのは、このレベル3まで。

今回、閣議設定されたレベル4、そして、最終段階であるレベル5は、つぎのように定義されています。

・レベル4=特定条件下における完全自動運転
・レベル5=完全自動運転

閣議決定されるにあたり、「特定自動運行」という名称で定義されたレベル4の自動運転技術。

当初は、上記報道にもあるように、人が運転しない定期運航バスのような乗り物が想定されています。

運営にあたっては、走行ルート、時刻表などの届け出、遠隔地で運行を監視する「特定自動運行主任者」の設置が義務づけられます。

利用層として、報道では、”過疎地での”とありますが、実際は、免許を返納した地方の高齢者らに向けての移動手段といった側面が強いようです。

じつは、今年(令和4年)5月13日から高齢者講習の内容が変更され、免許更新がより難しくなります。

警察庁は4日、高齢者が運転免許証を更新する際に、試験場や自動車教習所で受ける高齢者講習などの手数料の標準額を、来年5月13日から最大で1350円引き上げる方針を決めた。違反歴のある高齢者向けの運転技能検査も同日から開始する。

出典:時事ドットコム  21/11/04 「運転免許、高齢者の手数料増額 来年5月、運転技能検査も開始―警察庁」 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021110400497&g=soc

今回の改正では、誕生日の160日前までの3年間に交通違反した75歳以上の高齢者は、運転技能検査も義務付けられます。

対象となる交通違反は、つぎの11類型。

・信号無視
・反対車線へのはみ出し、逆走
・追い越し車線の通行
・速度超過
・禁止場所での横断、転回、後退
・踏切直前での不停止
・左折時に事前に左側に寄らない
・優先道路の進行を妨害
・横断歩行者の通行を妨害
・前方不注意
・携帯電話使用など「ながら運転」
参照:毎日新聞WEBサイト 21/03/16 「75歳以上の15万人超に実車試験 対象違反は11類型 22年導入」 https://mainichi.jp/articles/20210316/k00/00m/040/287000c

改正の目的は、高齢運転者の事故防止のためで、今後もこうした、高齢者に免許返納をうながす動きは加速していくと思われますが、問題となるのは、運転しなくなった高齢者の移動手段をどうするか。

そこで期待されているのが、レベル4、「特定自動運行」するバスなどの交通機関で、現在、全国各地の自治体で、自動運転の実験が行われているのも、そのためと思われます。(参考記事:自動運転実験、続々)。

このように、高齢者の免許返納とセットのような意味合いもあると思われる、「特定自動運行」の公道走行許可ですが、ただ、当然ながら、自治体には、財政に余力のある自治体もあれば、苦しんでいる自治体もあり、すべての自治体で、高齢者向けの「特定自動運行」システムが、スムーズに導入されるわけではありません。

「特定自動運行」するバスを導入できない場合、免許を返納して、日常の買い物に行く足がなくて困っている高齢者をどうカバーしていくか。

個人的には、高齢者でも安全に、免許がなくても乗れる、三輪の電動キックボードのような乗り物が登場するのではないかと思っていますが、問題は、電動キックボードは、駐禁をとられる可能性があること。

もしかすると、高齢者が利用する電動キックボード専用の、「駐禁除外標章」ができるかもしれません・・・


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