引っ越し業界鬼になる (その他15)

(初出:06/06/21) ※アーカイブ

1週間で1年超え・・・

つぎのような記事がありました。

『駐車違反取り締まりの民間委託制度が始まった1日からの1週間で、東京都内の警察署が交付した駐車許可証が約300件に上り、昨年1年間の208件を既に大きく上回っていることが21日、警視庁駐車対策課の調査で分かった』(出典:東京新聞ウェブサイト http://www.tokyo-np.co.jp/ 06/06/21)

駐車許可証とは、引っ越しトラックや冠婚葬祭用の車など、禁止区間に駐車しなければならない特別な事情がある車両に発行される、期間・場所限定付き許可証のこと。

申請にあたっては厳しい審査はなく、引っ越しであれば、引っ越しする事実を証明する書類があれば、ほぼ認められるとか。

それでも手続きすること自体が面倒だったのか、これまで引っ越し業者は、必要は感じていてもなかなか申請しなかったとか。

この問題については、駐禁の民間委託を検討した、04年内閣委員会でもとりあげられて、つぎのような文章が公開されていました。

『三万社ぐらい引っ越し事業者があるわけですね。恐らく、その事業者が一台しかトラック持っていないなんてことあり得ないし、例えば引っ越しでも、普通は一日一台ではなくて、一回ではなくて、一日二回転ぐらいするケースが多いですね。常識的に考えたら、多くの場合は、引っ越し業者なんというのは、個別に私が聞き取りをした限りで言うと、そんなの、申し訳ないけれども、警察署に行って、許可を一々警察署に行って取るなんということは、非常に、どちらかというとレアケースだというふうに聞いています』(松井孝治参議院議員/民主党)

政府側の答弁はつぎの通り。

『引っ越しの関係でございますけれども、これは荷物の、今私どもがこの放置違反金で問題にしていますのは放置駐車、すなわち運転者がいない場合ですね。したがいまして、荷物の搬入、引っ越しなど、運転者が近くにいる場合、こういった場合は放置違反金の対象じゃございません』(人見交通局長)
(出典:国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/ 04/04/08)

このやりとりだけ見ていると、引っ越し業者はもちろん、コンビニに納品するトラックも駐禁取り締まりの対象外になるような気もしますが、実際には、そんなことはないわけで。

松井孝治参議院議員も、そこのところをつっこんで聞いています。

『近くにいるといっても、例えばビル、都心なんかはそうですけれども、ビルに、ドライバー一人で、今合理化されていますから、ドライバー一人で荷物を運んで、伝票を切ってという、注文取ってということをやるんですよ。ビルの中に入っているときに、じゃハザードランプをつけていたら近くにいるということになるのかと。そうならないわけですよね』

当のコンビニにしても、納品トラックが駐禁をとられる件について、まったく楽観視はしておらず、次の記事のような対策をすると報じられています。

『最大手のセブン-イレブン・ジャパンは全国約1万1000店のうち1700店に駐車場が無い。対策は(1)駐車場確保(2)店員が荷物を取りに行く(3)乗務員2人化-の3つ。店の事情に合わせて対応する』(出典:共同通信ウェブサイト http://www.kyodo.co.jp/ 06/06/21)

というわけで、前もって日程がわかっている引っ越し業者は、鬼のように駐車許可証を申請しまくり、毎日納品しなければいけないコンビニは、さまざまな対応策を実行しているのですが・・・

ふと思ったのは、容疑者が潜んでいるマンションの前で、張り込みしている覆面パトカーは、「駐車監視員」に事情を説明するわけにもいかず・・・

さぞかしやりづらいでしょうね・・・