高齢ドライバー、悲しい裁判 (その他98)

(初出:07/03/28) ※アーカイブ

 加害者に過失があったとはいえ、悲しい裁判です・・・
 07年3月26日、05年8月発生した交通事故をめぐって慰謝料を請求する裁判が、前橋地裁に起こされているとの報道がありました
 事故の模様はつぎのとおり。
『関越自動車道を乗用車で走行中、逆走してきた軽トラックを避けようとして事故に遭った茨城県古河市の男性会社員(45)と家族』
(http://www.tokyo-np.co.jp/ 07/03/27)
 男性会社員は軽トラックを避けようとして中央分離帯に激突、家族全員が脱出した直後、車は炎上したとのこと。
 請求金額は約370万円と高額ではありませんが、悲しいのは訴えられたのが、77歳と高齢の軽トラックの運転手だったこと。
 07年3月2日閣議決定された道交法改正案では、75歳以上のドライバーは免許証更新時に、判断力などを調べる認知機能検査が義務付けられましたが、高速道を逆走した軽トラック運転手は、まさに同案でいう「高齢ドライバー」。
 ちなみに「高齢ドライバー」についてつぎのような報道がありました。
『65歳以上による交通死亡事故は、昨年1,033件(前年比14件増加)起きた。特に70歳以上で758件(同68件増)と急増し、信号を無視したり一時停止を怠ったケースが目立つ』
『6~7月、69歳以上の高齢運転者約4,000人を対象に簡易検査を試験的に実施したところ、2.5%が「認知症の疑いがある」と判定され、23.7%が「認知機能の低下」が疑われた』
(http://www.mainichi-msn.co.jp/ 06/11/30)
 こうした深刻な「高齢ドライバー」問題については、自治体レベルでも対応を開始していて、たとえば富山県富山市では、免許を返納する「高齢ドライバー」につぎのような特典がある「高齢者運転免許自主返納支援事業」を開始しました。
『路線バスや電車などが利用できる約2万円分の乗車券と、身分証明書として住民基本台帳カードか運転経歴証明書の取得費が支給される』
(http://www.asahi.com/ 06/11/18)
 富山市ではこの制度を実施後、それまでの10倍程度のペースが免許返納が進んだとか。
 いくら健康に自信があっても、歳をとれば反射神経や判断力が鈍るのは、生物として当然のこと。
 前橋地裁に起こされたような裁判が続かないためにも・・・
 富山市のような高齢ドライバー対策が、全国でもっと出てくればよいのにと思います・・・

※令和元年10月現在、特典内容に変更はあるものの、富山市の「高齢者運転免許自主返納支援事業」は継続して実施されています。
(富山市HP 「高齢者運転免許自主返納支援事業」 
※現在HPより削除