くるか、電動キックボードブーム3(その他:令和226)

(初出:21/10/29)

くるか、電動キックボードブーム・・・

そもそも、まだ多くの人に馴染みがない、電動キックボード(キックスケーター)。

トラブルも報告されています。

電動キックスケーターで走行中、歩道を歩いていた女性をはねて逃走したとして、大阪府警が自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、住所不定、無職の男(30)を逮捕していたことが4日、捜査関係者への取材で分かった。

出典:時事ドットコム 21/06/04 「電動キックスケーターでひき逃げか 女性重傷、30歳男逮捕―大阪府警」 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021060400990&g=soc

このひき逃げ犯には後日、大阪簡裁で罰金50万円の略式命令が下されました。

また、実施期間が延長されることになった、東京都(新宿区他)の電動キックボード実証実験ですが、すんなり延長が決定したわけではありません。

街なかの交通手段として人気が高まっている電動キックボードを安全に使ってもらうため、警視庁は12日、対策を話し合う初めての会議を開いた。レンタル事業の実証実験に取り組む企業などが参加した。交通違反が後を絶たないためで、警視庁は、交通ルールを守ることを利用者に呼びかけるよう事業者に求めた。

出典:朝日新聞デジタル 21/10/12 「電動キックボードの事故防止へ 警視庁とシェア事業者が初の対策会議」 https://www.asahi.com/articles/ASPBD4T58PBDUTIL01K.html

会議で問題視されたのは、無免許で乗る、ナンバーをつけていないなど、一部利用者による、まちがった電動キックボードの使われ方。

しかし、会議参加者のシェアリング事業者らは、当然ながら、こうしたトラブルが起きないように対策を講じています。

つまり、問題を起こしているのは、シェアリング事業者が所有しているのではなく、個人が所有している電動キックボードである可能性が濃厚です。

実際、大阪で発生したひき逃げ事件でも、犯人が乗っていた電動キックボードには、ナンバーもライトもついていませんでした。

ただ、電動キックボードを見慣れていない一般の人からすれば、町で見かけた車体が個人所有のものなのか、シェアされたものなのか、ほぼ見わけがつきません。

ましてや、両者の間で、道路交通法の扱いがちがうことなど、知るはずもありません。

たとえば、都心にある事務所の近くでシェアリング電動キックボードを見かけ、

「お、電気で動いてるキックボードだ。意外と速いな。へえ、ヘルメットなしでもいいんだ。楽そうだな、いくらするんだろう。安かったら一台、家に置いといてもいいな」

と思い、郊外の自宅へ帰り、量販店で製造国も分からない格安電動キックボードを買いこみ、家の近所をノーヘルで走ってると、パトロール中の警官に見つかって尋問され、そのまま警察署に連行される、といった、カン違いによる不幸な事件も起きる可能性だってあります。

そこで警視庁は会議で、レンタル事業者に対し、正しい電動キックボードの乗り方を一般に周知するよう、依頼しました。

”依頼”であって、”要請”ではないのは、本来、レンタル事業者には、他社が販売している電動キックボードの使い方を広める義務などないからです。

いわばシェアリング事業者にしてみれば、とばっちりのようなものですが、とはいえ、電動キックボード自体の評判が悪くなれば、自分たちのビジネスも危うくなるため、放置するわけにはいきません。

新しいプロダクツが登場した直後、マナーの悪い一部利用者のせいで、そのプロダクツ全体のイメージがダウンすることはよくある話です。

アナログの携帯電話が出た直後は、電車の中で大声で話す人が問題となりました。最近では、歩きスマホで人にぶつかるトラブルが多発し、ひどい場合は、駅で線路に転落するケースも発生しています。

そのため、現在では駅や電車内で、「マナーを守り、車内での通話はお控えください」、「ホームでは歩きスマホはおやめください」というアナウンスが流れるようになりました。

同じように電動キックボードも、悪いイメージがつかないよう今から対策しないと、世間から”あぶない乗り物”というレッテルを貼られかねません。

そうなったら、ブームどころか、社会から排斥される可能性すらあります。

ただ、レンタル事業者にとっては幸いなことに、ここにきて自治体が、電動キック ボードなど次世代モビリティを推進する動きを見せています。

たとえば、令和3年12月4日(土)・5日(日)、東京国際フォーラムで、東京都環境局主催で、「EVバイクコレクションin TOKYO 2021」というイベントが開催されます。

ゲストにタレントのフワちゃんなどが登場し、のべ2日にわたり、広い会場でさまざまなワークショップや展示が予定されているこのイベントですが、太っ腹にも、入場料無料。

EVバイクのイベントなので、HPには電動キックボードの名前こそありませんが、但し書きとして”その他EVモビリティもご用意しています。”とあるので、会場に置かれているかもしれません。

なにより、イベント開催の目的について、東京都のHPにはこのように書かれています。

東京都は、CO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現に向け、都内で新車販売される二輪車を2035年までに100%非ガソリン化することを目指しています。

出典:東京都HP 21/10/27 「EVバイク普及イベント「EVバイクコレクションin TOKYO 2021」を開催します」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/10/27/07.html

電動キックボードも二輪車の部類に属します。

つまり、2035年の環境先進都市・東京都では、多くの電動キックボードが走り回っている光景が見られるのではないでしょうか・・・

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