賞狙いの”鉄板テーマ”?(その他:令和272)

(初出:22/05/23)

賞狙いの”鉄板テーマ”?・・・

かつて、交通違反のなかで、もっとも問題視されていたのは、”速度違反(スピード違反)”でした。

全日本交通安全協会と毎日新聞社は、毎年「交通安全年間スローガン」を募集していますが、1973(昭和48)年、内閣総理大臣賞を受賞したスローガンは、いまでもよく知られている、
「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」
です(出典:毎日新聞社 「交通安全年間スローガン 1966(昭和41)年使用以来の全入賞作品」 https://www.mainichi.co.jp/event/aw/anzen/slogan/archive.html)。

また、昭和41・42・49・50・53・56・57年の各年、内閣総理大臣賞に選ばれたスローガンは、いずれもスピード違反について注意喚起する内容でした。

ところが、ここ15年以上、スピード違反を題材にしたスローガンは、内閣総理大臣賞から遠ざかっています。

理由は明らかで、罰則が強化されるなどして、スピード違反の摘発件数が減っているからです。

警察白書によれば、1977(昭和52)年、速度違反取締り件数は、5,420,693件でした。

それが、2020(令和2)年になると、同違反件数は、1,162,420件と、4/1以下にまで減っているのです(出典:警察庁 「警察白書」※昭和54年・令和3年 https://www.npa.go.jp/publications/whitepaper/index_keisatsu.html)。

では、今年令和4年、内閣総理大臣賞に選ばれたスローガンは、どんな交通違反に関するものだったでしょうか。

じつは、具体的な交通違反に関するスローガンではなく、
「手を上げる 子どもはあなたを 信じてる」
という、ドライバーに安全運転を心がけるよう呼びかけるものだったのです(出典:毎日新聞社 「交通安全年間スローガン 1966(昭和41)年使用以来の全入賞作品」 https://www.mainichi.co.jp/event/aw/anzen/slogan/archive.html)。

ちなみに、先月(令和4年4月)実施された、「令和4年春の全国交通安全運動」の”全国重点”は、
(1)子供を始めとする歩行者の安全確保
(2)歩行者保護や飲酒運転根絶等の安全運転意識の向上
(3)自転車の交通ルール遵守の徹底と安全確保
の3点(出典:内閣府 令和4年2月1日 「令和4年春の全国交通安全運動推進要綱」 https://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/undou/r04_haru/youkou.html)。

”飲酒運転”にこそ触れられているものの、以前、問題視された、駐禁、シートベルト、チャイルドシート、ながらスマホ、高齢者ドライバー、煽り運転などは、重点項目には挙げられていません。

これら交通違反は、ことごとく法律が整備・強化され、スピード違反同様、違反件数が減っているからだと思われます。

問題視される交通違反がないなら、それはそれで幸せな状況といえますが、では、この状況がずっと続くのかといえば、気になるのが、先日、規制緩和されることが確定した、電動キックボード。

16歳以上であれば免許不要で、ヘルメットを着用しなくても乗れることになった電動キックボードをめぐっては、「車道を走るのは危険だ」という意見が各方面から寄せられており、ちょっとした炎上状態となっています。

実際に、個人所有のノーヘル電動キックボードが公道を走れるようになるのは、まだ先の話ですが(参考記事:激論の電動キックボード、なぜ施行は2年後?)、その安全性をめぐる議論が、すぐにおさまるとは思えません。

※参考記事:「ブーム確定、電動キックボード、つぎなる注目は


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