(初出:20/12/14)
むしろ、なにもしないほうが儲かる・・・
民間車検場で不正に車検を通し、現金を受取ったとして、社長らが加重収賄容疑で追送検されました。
国の指定を受けて車検業務を行う検査員は「みなし公務員」にあたる。警視庁は車検を依頼した男も贈賄容疑で追送検し、2004年以降、1台につき1万円の謝礼で計500台の不正車検を玉井被告に依頼していたとみて調べている。
出典:読売新聞ウェブサイト 20/12/14 「不正にバイク車検通して謝礼7万円、民間車検場の社長ら3人を追送検」 https://www.yomiuri.co.jp/national/20201214-OYT1T50023/
同社では、実際には整備も点検しない、ペーパー車検」を繰り返していたとのこと。
なにもせず、1万円×500台で犯罪収益500万かと思いきや、さにあらず。
もともとこの事件は、昨年(令和元年)都内で摘発されたダンプカーが違法改造されていたのに、なぜか車検をパスしていたことから発覚したのですが、その違法改造ダンプカーの車検を通したのが、前述の民間車検場だったのです。
そして、そこで行われていた不正は、バイク車検だけではありませんでした。
玉井容疑者は平成11年以降、過積載ができるよう改造されたダンプなどに虚偽の保安基準適合証を作成、依頼人から約4億4千万円の報酬を得たとみられる。自動車検査員は検査業務を代行する「みなし公務員」で、同課は収賄容疑などでも調べる。
出典:時事ドットコム 20/12/02 「改造ダンプに不正車検容疑、男女4人逮捕、「みなし公務員」で贈収賄か」 https://www.sankei.com/affairs/news/201202/afr2012020016-n1.html
収益は500万どころではなく、億に達していたのです。
違法改造を見て見ぬふりするだけで、約4億4千万円の報酬。
心が動くのもわからないでもありませんが、過積載した改造ダンプが起こすかもしれない悲惨な事故現場を想像したら、受けられる話ではありません。
無理に車検を通した業者にしても、余分な出費を回収するため、目いっぱい荷物を積んで業務に励むでしょうから、より危険性が増すだろうし。
今回、不正が発覚して、むしろよかったかもしれません。
ちなみに整備工場と同じく、みなし公務員なのが、駐車監視員です。
こちらも、駐禁を見逃すかわりに賄賂をもらったりしてるのではないかと邪推する人が時々いますが、そう簡単には不正ができないようになっています。
駐車監視員は、デジカメで駐禁の現場写真を撮るのですが、撮った写真はその場でサーバーにアップされるので、賄賂を渡してデジカメから消してもらっても意味がないのです。
また衆人環視の中、2人1組(ユニット)で行動する駐車監視員が、賄賂を受け取るとは思えません。
そして、駐車監視員には処分の取り消しをする権限はありません。
つまり、いったん駐禁を報告してしまったら、駐車監視員を買収しようとしても、抗議してもムダなのです。
ましてや、「駐禁、取り消せよ」と脅迫したら逮捕されかねない(参考記事:駐禁は災いの元?)ので、注意が必要です・・・