(初出:07/04/08) ※アーカイブ
「幾つかの仮定」、現実化・・・
04年4月8月、内閣委員会で、警察庁の人見交通局長(当時)はつぎのように発言しました。
『標章を取り付けたうちの三割ぐらいが運転者として反則金を納付し、これはあくまで仮ですが、残りの七割が放置違反金の納付により処理されるなど、幾つか仮定を置いた場合』(出典:国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/ 04/04/08)
これは、「駐車監視員」制度を導入すれば、警察官約500人分の手が空くだろうという計算の”仮定条件”についての意見。
では実際に、「駐車監視員」制度が開始されてどうなったでしょうか。
06年6月、「駐車監視員」制度が導入され、10カ月が経過、「幾つかの仮定」は現実のものとなっています。
つぎのような報道がありました。
『警察庁の調査では、昨年6~7月の全国の駐車違反で、昨年10月末までに違反処理が済んだのは約33万件。うち運転者が出頭したのは全体の約3割(約9万3,000件)にとどまり、約7割(約23万7,000件)は放置違反金のみが支払われていた』(出典:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/ 07/04/07)
駐禁をとられた場合、運転手として出頭すれば、反則金を納付した上で、免許点数に加点(いわゆる「減点」)がされます。
出頭せずに、車の使用者(持ち主)として、反則金と同額の放置違反金を納付すれば加点はない。
どちらを選ぶかはもちろん、個人の判断に委ねられますが、多くの人が後者を選んでいるようです。
ちなみに06年6月7月、「放置違反金」を利用したケースは57.2%だったとか。つぎのような記事がありました。
『6月と7月に摘発した41万5,014件のうち、運転者が反則金を支払ったのが9万3,074件(22.4%)、運転者が出頭せず、車の所有者が放置違反金を払ったケースは23万7,499件(57.2%)で、納付率は合わせて79.6%』
(出典:日経新聞ウェブサイト http://www.nikkei.co.jp/ 06/12/14)
なお、反則金ではなく放置違反金を納付すれば、免許点数の加点はなくても、違反を繰り返した時に「使用制限命令」などの罰則があります。
警察庁の調査によれば、06年6月から11月末までに出された「使用制限命令」は88件あったとか。
それでも、改正された道交法について、今のところ世のドライバーが問題視しているとは思えません。
その証拠に、まもなく二年目に突入する「駐車監視員」制度は、目立った反発もなく、対象地域などが拡大されようとしています・・・