(初出:22/11/04)
モビリティ取り巻く環境、激変の可能性・・・
2022年10月27日、政府が、車を走らせるたびに税金が発生する「走行距離課税」の導入を検討しているというニュースが流れました。
財務省は2023年度の税制改正で、将来に向けた課題として走行距離に応じた課税の検討を深めたい考えだ。
出典:日経新聞ウェブサイト 22/10/27 「車税制、EV時代へ見直し 走行距離課税導入を議論」 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65478590W2A021C2EP0000/
電気自動車(EV)が普及すると、ガソリン税が減収するからというのが主な理由のようですが、自家用車にタクシーのメーターならぬ税金のメーターを積むような、この税制。
・走行距離の確認はどこで、だれがするのか。
・車の排気量や車種(大型、普通、原付など)、使用目的(自家用、運送用、送迎用)を問わず、一律同じ税率なのか。
・そもそも、国民が、新たな負担を粛々と受け入れるのか。
本格的な議論が始まるのはこれからですが、不明点満載です。
このニュースを聞いて、「自動車だと『走行距離課税』かかるなら、近所の買い物は自転車ですませるようにしよう」と思った方もいるかもしれません。
しかし、その自転車の取締りも、いっそう強化されます。
2022年11月1日、内閣府の中央交通安全対策会議は、「自転車の安全利用の促進について」という文章を発表しました。
自転車取締りの強化を、念押しするようなこの文章、目をひくのは、交通ルールを守らなかった際の罰則について、詳細に記載していること。
たとえば、自転車の「信号無視」については、つぎのように記載されています。
交差点での通行
出典:内閣府 22/11/01 「自転車の安全利用の促進について」 https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/bicycle/bicycle_r04.html
信号機のある交差点では、信号機の表示する信号に従わなければならない。「歩行者・自転車専用」と表示されている信号機のある場合は、その信号機の表示する信号に従う。
【該当規定】道路交通法第7条
【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
「2022年秋の交通安全運動」※1から頻繁に、多くのマスコミで取り上げられる、警察による”軽車両=自転車”取締りの動き。
ここまで具体的な罰則を挙げる文章が公開されたということは、今後いっそう、その動きが加速するのは避けられないでしょう。
しかし、こうなると不思議なのは、2021年12月、突如として緩和された、”電動キックボードに関する規制”※2。
実際に施行されるのは、2024年ぐらいになりそうですが、着用が義務づけられていたヘルメットは努力義務となり、免許は不要、最高速度を6キロ以下であることを表示すれば歩道走行も可と、電動キックボードは、ぐっと身近なモビリティとなる予定です。
自動車は「走行距離課税」で負担が増えるかも、自転車は取締りが強化され”罰金”をとられる※3かも、でも、電動キックボードの規制は緩和される・・・
これでは、規制緩和が実現するとともに電動キックボードの利用者が激増しそうですが、忘れてならないのは、電動キックボードは、駐車監視員のターゲットになる※4可能性が高いこと。
一長一短、どれに乗っても、油断は禁物。
この先、モビリティを取り巻く環境は、技術的には進歩するでしょうが、利用者にとって一概に便利とは、いいがたい状況となるかもしれません・・・
※1=参考記事:要注意、”軽車両=自転車”取締り、2022年秋の交通安全運動
※2=参考記事:ノーヘルに一歩前進、電動キックボード
※3=参考記事:自転車逆走から、”罰金15万円”
※4=参考記事:駐車監視員も熱視線? 電動キックボード
…
※参考(Amazon):
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