ながら運転、”2秒ルール”の真実 (取締:令和80)

(初出:19/12/02)

カーナビを”2秒以上注視”すると「ながら運転」と認定される・・・

19年12月1日から厳罰化された、「ながら運転」。
政府が発表しているその内容は、つぎの通りです。

■携帯電話を保持して通話したり画像注視したりした場合(保持罰則は、新たに「6月以下の懲役」が設けられ、罰金は「5万円以下」から「10万円以下」に引上げ
 反則金が普通車ならこれまでの3倍に(6,000円→18,000円)
 違反点数がこれまでの3倍に引上げ(1点→3点)
■携帯電話の使用により事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合(交通の危険)
 罰則は、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」から「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」に引上げ
 非反則行為となり、刑事罰(懲役刑または罰金刑)の対象に
 違反点数が「6点」となり、免許停止処分の対象に 

出典:政府広報オンライン 19/11/12 「運転中の「ながらスマホ」が厳罰化!違反点数が3倍、反則金も高額に! 一発免停も!」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201707/2.html

そして「ながら運転」の具体的な取締り内容をめぐっては、さまざまな報道がされていますが、そのひとつに冒頭のような内容があります。

「スマートフォンにインストールしたカーナビは、運転中、手に持って操作するのはアウト。また、フォルダなどで固定していても、2秒以上注視したらアウト」。

しかしどうやって、”2秒以上”カーナビを見たと判定するのかと思って調べたのですが、明確な答えは分かりませんでした。

ただ警察庁のHPにつぎのような記述があったので、もしかするとそれを参考にしたのかもしれません。

下の表は、自動車が2秒間に進む距離を示したものです(運転者が画像を見ることにより危険を感じる時間は運転環境により異なりますが、各種の研究報告によれば、2秒以上見ると運転者が危険を感じるという点では一致しています。)。
時速60キロで走行した場合、2秒間で約33.3メートル(注)進みます。
その間に歩行者が道路を横断したり、前の車が渋滞などで停止していたら事故を起こしてしまう可能性があります。

出典:警察庁 「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html

ただしこの記述は、あくまで「”2秒”、前方から注意をそらしただけで車はこんなに進むので危険です」といってるだけで、「 ”2秒” 以内なら固定されたカーナビを見てもだいじょうぶ」という内容ではありません。

いってみれば、「床に落ちたけど3秒以内に拾ったから、食べてもだいじょうぶ」のような根拠不明のルールとなんら変わりはありません。

冷静に考えれば、車内という密室で、ドライバーがどれだけの時間カーナビを注視したかなんてだれも測定していないし、タクシーのように車内の状況を録画していなければ検証もできません。

かつて駐禁取締まりが民間委託された際、しばらくは取締り報道が続き、なかでも逮捕第1号のニュースは全国を駆け巡りました。

今回の「ながら運転」厳罰化にあたっても、同じようにしばらくは報道が続くものと思われます。

不名誉な「ながら運転」違反での逮捕第1号とならないためには、根拠不明の”2秒ルール”は、あてにしないほうが賢明でしょう。

万一、カーナビを見ていて事故を起こしても、ドライバーが”2秒以内”しかカーナビを見ていなかったと証明するものはないのですから・・・