(初出:24/01/16)
自転車は電動キックボードの轍を踏むか・・・
2023年7月1日から、条件付きながら無免許・ノーヘルでの公道運転が解禁された、電動キックボード※1。
しかし、解禁直後は、散々な有様でした。
つぎのような記事が残っています。
(2023年)7月から新ルールが施行された電動キックボードの同月中の摘発件数が406件に上ったことが1日、警察庁のまとめで分かった。信号無視が約半数を占めた。
出典:時事ドットコム 23/09/01 「電動ボード、摘発400件超 信号無視・通行区分違反が8割 警察庁」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090100792&g=soc
たった1ケ月で406件とは、なかなかの数字です。
興味深いのは、違反の半数近くが信号無視だったという事実。
信号無視といえば、われわれが日常目にするのは、歩行者、そして自転車が”信号無視”する現場ではないでしょうか。
それも、見るからに素行の悪そうな人が赤信号を渡るのではなく、ごくふつうの身なりをした年配の方が、さっさと信号無視したりしています。
そして、その人たちの多くは、雨が降ったから傘をさしたとでもいうような、当たり前のことをしている体で、ほとんど罪悪感は感じているようには見えません。
”信号なんか、車のこない道路で守る必要ないでしょう”
タイパ(タイムパフォーマンス)が重視され、むだなスキマ時間を圧縮しようとする風潮もあることだし、気持ちとしては、よくわかります。
ただ近年、歩行者はともかく、自転車による交通違反は、警察による取り締まりが強化されています。
中でも、重点的に取り締まりの対象となっている自転車による交通違反は、つぎの4つ※2。
「信号無視」
「一時不停止」
「右側通行」
「徐行せず歩道を通行」
これらについて警察では、自転車といえども摘発し、積極的に「赤切符」が交付するという姿勢を示しています(とくに各自治体で決められた 「自転車指導啓発重点地区・路線」※3では要注意)。
さらには、自転車の違反に対して、反則金納付を伴う「青切符」導入が検討されています。
近年事故が増えている自転車について、警察庁は、信号無視など悪質な違反をした16歳以上を対象に「青切符」を導入する方針を固めた。2024年の法改正を目指す。
出典:FNNプライムライン 23/12/21 「自転車の交通違反に反則金“青切符”導入へ 16歳以上対象で最大1万2000円程度 携帯ながら運転も違反 警察庁」
https://www.fnn.jp/articles/-/633118
手軽に乗れて、どこでも走れて、いたるところ無料で停められるスペースがあり、燃料費もかからず、車検もなくて維持費も格安な、庶民の移動手段の代表格、自転車。
しかし、2023年4月からはヘルメット着用が努力義務化され、同年春の交通安全運動では、取締りの主役に躍り出た感すらあります※4。
これで、「青切符」交付が施行され、電動キックボードのように、違反者が次々摘発。
信号無視したり、乗りながら携帯電話を使用して取り締まられ、そのたびに5000円から1万2000円の反則金納付命令をくらうようなことになったら。
”庶民の足”主役の座も、あやうくなるかもしれません・・・
~参考記事~
※1=昨日の敵は、今日も敵
※2=本気の悪質自転車取締り、「赤切符」の結末は
※3=要注意! 「自転車指導啓発重点地区・路線」
※4=主役は自転車? 令和5年春の交通安全運動
※(国土交通省)「安全で快適な自転車等利用環境の向上に関する委員会」会議資料、議事要旨