パリジャンは「ノン!」 電動キックボードの行方(令和293)

(初出:23/05/23)

パリジャンは「ノン!」 電動キックボードの行方・・・

あと1ケ月と少し、2023年7月1日から、条件付きながら無免許・ノーヘルでの公道運転が可能となる、電動キックボード(参考記事:昨日の敵は、今日も敵)。

お手軽な交通手段として認知されている、アメリカやドイツ、フランスなどに続けとばかり法改正された電動キックボードですが、じつは、それら電動キックボード先進国でも、歓迎されているばかりでありません。

たとえばドイツでは2019年、電動キックボードによる駐車違反が問題視されているとのブログ記事がありました(参考記事:駐車監視員も熱視線? 電動キックボード)。

またつい最近、2023年4月にはフランス・パリで、電動キックボードをめぐって、住民投票が行われる事態となっています。

『パリで2日、電動キックボードのシェアリングサービスを受け入れ続けるかどうかを問う住民投票が行われ、反対が約90%に上った。フランスのメディアが伝えた。結果に法的拘束力はないが、イダルゴ市長は結果に従う考えを示してきた。8月末の契約期間満了で受け入れが打ち切られる見通し。』

出典:共同通信ウェブサイト 23/04/03 「パリで電動ボードシェア反対多数 住民投票の結果、市長停止へ」 https://nordot.app/1015401500081946624

これにより、来年2024年開催されるパリ五輪(第39回夏季五輪)でパリを訪れた観光客が、電動キックボードを利用できる可能性は、ほぼなくなりました。

花の都を颯爽と電動キックボードで走りぬけるパリジャンも、いるにはいるでしょうが、それら車体はシェアリング型ではなく、個人所有のものとなるはずだからです。

一方、日本では、パリ五輪の翌年、大阪万博(2025年日本国際博覧会)が開催されます。

そしてその時には、パリとは反対に、これから解禁される電動キックボードが、大阪万博の会場付近を多数走っている光景を見ることになるのではないでしょうか。

そのシーンは、観光で大阪を訪れたフランス人の目には、「懐かしい風景」と映るかもしれません。

ただ、ドイツでもフランスでも問題となったのが、電動キックボードの不適切な駐輪、つまり、”違法駐車”。

手軽に乗れてどこでも停められるのは、電動キックボードの長所でもありますが、同時に短所でもあります。

なぜなら、無免許・ノーヘルで運転することが可能でも、ナンバープレートがついた電動キックボードは、れっきとした”車両”。

便利だからといって、その辺に停めておけば、自動車やバイクと同じく、駐禁をとられるからです。

かつて大阪は、駐車監視員制度が導入された際、府警みずから「大阪の違法駐車の現場は甘くない」と語ったとされます(参考記事:シャレにならない・・・ 「浪速駐禁事情」)。

そんな現場で働く駐車監視員にしてみれば、いくら仕事が忙しくなって駐禁車両の確認台数が増えたとしても、自分の給料が増えるわけでもなく※、「これ以上忙しいのは勘弁」、というのが本音かもしれません・・・

※参考記事:都市伝説の嘘、外交官の駐禁問題