貸した側も逮捕、”駐禁除外章”不正利用(逮捕:令和267)

(初出:22/04/07)

貸した側も逮捕、”駐禁除外章”不正利用・・・

減ったと思えばリバウンドを繰り返す感染症のように、しばしば報道されるのが、”駐禁除外章”の不正利用問題です。

障害がある人などに限り交付される駐車禁止を除外する標章を使い、取締りを免れようと警察の業務を妨害したとして、神戸市の52歳の社長が逮捕されました。

出典:NHK NEWS WEB 22/03/29 「身障者用の駐車禁止を除外する標章 入手し不正使用疑い逮捕」 https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20220329/2020017632.html

正式には、「駐車禁止除外指定車標章」と呼ばれる”駐禁除外章”は、身体障害者などハンディのある方に交付される標章です。

この標章を、交付された本人が使用している車の、窓ガラス前面の見やすいところに掲げることで、本来、駐禁をとられる場所でも駐停車が可能となります。

ただし、どこでも利用できるわけではありません。

たとえば、警視庁※のHPには、標章を使っても、駐禁取締りの対象になる例がいくつか例示されています。
参考:警視庁HP 21/10/14 「除外標章を掲出しても除外の対象とならない場所(例)」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/seido/jogai00.html

また、標章を利用できるのは、交付された本人が使用している車両に限定されます。

なので、標章を交付された本人名義の車だったとしても、本人が乗っておらず、家族だけが運転して買い物などに行く際は、標章は利用できません。

じつは以前、”駐禁除外章”は、「人」ではなく、「車」に対して交付されていました。

つまり、それまでは、”駐禁除外章”が交付された車に乗っていれば、だれでも、駐禁をとられるリスクを回避できていたのです。

しかし07年6月、交付対象が「車」から「人」に変更(参考記事:一挙両得? 「駐車規制及び駐車許可制度の運用」改正案)。

制度が改正された大きな原因のひとつに、今回のような”駐禁除外章”不正利用問題がありました。

たとえば06年5月には、会社ぐるみで”駐禁除外章”を不正利用していた会社の役員以下5名が詐欺と有印公文書偽造・同行使の疑いで逮捕されています(参考記事:老母哀れ、親不孝駐禁)。

同じく06年10月、京都府警が場外馬券売り場「ウインズ京都」周辺を一斉取り締まりした際には、”駐禁除外章”を掲げた車が1日約40台、入れ替わり立ち代わり違法駐車していたといいます(参考記事:祇園・駐禁事情)。

このような、目に余る不正利用がはびこる事態に、ついに制度が改正されたわけですが、それでも現在にいたっても、冒頭に掲載した記事のように、逮捕される人間があとを絶ちません。

さらに、今回の事件では、”駐禁除外章”を貸した人も逮捕されました。

貸した人は、お金(年間10万円)をもらっていたといいます。

”駐禁除外章”は、借りるのも、貸すのも、禁止されているので、逮捕された方は、”駐禁除外章”を没収され、以後、二度と交付されない可能性もあります。

そもそも、”駐禁除外章”は、利用にあたっての注意として、利用は最小限にとどめ、路外駐車場などを利用することが求められています。

”駐禁除外章”を交付されている人に、
「駐禁の罰金やだから、ちょっと標章貸してね」
などとお願いするのはもってのほか、重大な”犯罪行為”と心得るべきでしょう・・・

※”駐禁除外章”の利用条件は、各自治体(都道府県)によって異なります。