(初出:21/02/10)
電動キックボード(スケーター)、このまま消える可能性も・・・
諸外国ではすでに普及し、日本でも、特定の地域ではヘルメットを着用しなくていい特例措置がまとまりそうな電動キックボード。
先日、その扱いが原チャリと同じということで、駐禁をとられるのではないかという記事を書いたのですが(参考記事:駐車監視員も熱視線? 電動キックボード)、さらに調べてみると、このままだと日本では流行らないのではないかという気がしてきました。
その理由は単純で、今のままだと、全然手軽じゃないからです(※補足)。
ライトや方向指示器、標識(ナンバープレート)、自動車保険加入が義務付けられ、ヘルメットこそ装着義務がなくなりそうですが、ヘルメットをしないと制限速度は時速15キロまで、免許も原動機付き自転車専用ではなく自動車免許が必要、駐禁をとられるかもしれないと、制限だらけ。
制限速度についていえば、電動アシスト自転車の制限速度は、時速24kmまで。
ちなみに、ただの自転車だと時速60kmまで出すことができます。
免許もいらず、速度も速く、空いていれば歩道を走っても目くじらを立てられることもない自転車をやめ、あえて、電動キックボードを選ぶメリットは少ないような気がします。
ちなみに世界で、シェア電動キックボード最大手の会社といえばLimeですが、同社は過去に、日本で実証実験を行なっています。
アメリカ発の電動キックボードの大手Lime(ライム)が日本に初上陸。同社は9月7日と8日の2日間、福岡市の貝塚交通公園にて実証実験を行なった。この実証実験はLime、デジタルガレージ、KDDIが主催し、福岡市が協力。デジタルガレージとKDDIはLimeに出資している。Limeは今後、福岡市でサービス提供を開始し、その先は日本各地に展開していくことを目指す。
出典:TechCrunch Japan 19/09/09 「電動キックボードのLimeが日本に初上陸、全国的な展開を視野に、まずは福岡市でのサービス提供を目指す」 https://jp.techcrunch.com/2019/09/09/lime-fukuoka-trial/)
上記実験から1年以上たちますが、2021年2月10日現在、LimeのHPはまだ日本語に対応していません(https://www.li.me/)。
そこで気になるのが昨年(2020年)、LimeがUberから出資を受けたという報道です。
電動スクーター企業のLimeは、Uberが主導するラウンドで1億7,000万ドルの資金調達を実施した。その他投資家にはAlphabetの投資部門であるGoogle Venture、Bain Capitalなどが名を連ねている。この取引の一環として、Uberは電動自転車サービスのJumpをLimeに事業譲渡し、同時にUberアプリとLimeの統合を「拡大する」としている。
出典:BRIDGE 20/05/10 「大幅評価ダウンの中、それでもUberがキックスクーターLimeに出資する理由」 https://thebridge.jp/2020/05/uber-leads-170-million-round-in-lime-and-offloads-jump
駐禁.comでもたびたび取り上げてきましたが、ライドシェアのUberは、「白タク行為にあたる」として国土交通省から規制されるなど、日本と相性が良くありません(参考記事:シェアリングサービスのつまづき)。
勝手な想像ですが、背後にUberがいるなら、合理的な外資らしく「法律がめんどうくさい日本進出は後回しでいいや」と、Limeが判断したとしても納得です。
このまま規制の網にがんじがらめになって普及せずに終わるのか、それとも業界団体のがんばりで、さらなる規制緩和に向かうのか。
警察庁が、電動キックボードに柔軟な対応を見せるのか、あくまで厳しく取り締まるのか(※補足)。
その反応は案外、自動運転技術や空飛ぶクルマなど、次世代交通手段への対応のテストケースとなるかもしれません・・・
※補足:2021年12月、電動キックボードの規制を大幅に緩和する案が発表された(参考記事:ブーム確定、電動キックボード、つぎなる注目は)