(初出:21/06/28)
ある時は原付バイク、ある時は自転車・・・
「そんな都合のよい乗り物があるものか」と笑われそうな話ですが、なんと、もうすぐ実現しそうです。
つぎのようなレポートがあります。
『スロットルをひねれば電動バイク、ペダルを漕げば電動自転車として使えるというバイク×自転車な「ハイブリッドバイク GFR-02」がモビリティ系ベンチャーのglafitから登場しました。動力はリチウムバッテリーのみという100%電動で、バイクモードでは最高時速30km/hを実現可能な上に重量はわずか20kg、さらには折りたたみもできるということなので、実際に乗ってみました。』
出典:Gigazine 21/06/05 「電動バイクにも電動アシスト自転車にもなるハイブリッドバイク「GFR-02」試乗レビュー」 https://gigazine.net/news/20210605-glafit-gfr-02/
折り畳みも可能という、軽量な車体は、一見、電動自転車そのもの。
しかし、後部を見ると、しっかりついているのが、原付のナンバープレート。
このナンバープレートこそ、一台で二役を可能にした、魔法のような装置でした。
『「モビチェン」について(特許取得済)
出典:glafit 21/06/22 「【プレスリリース】glafitが「SHeLF SToRE」に出展 | ハイブリッドバイクGFR-02とX-SCOOTER LOMの展示と試乗が、期間限定・大阪梅田で可能に!」 https://glafit.com/news/pr20210622/
後付け後は、日本初の自転車と電動バイクという2つの車両区分の切り替えが認められる状態になり、「バイクの電源をOFFにし、ナンバープレートを覆った時は道路交通法上、普通自転車」として取扱いされるようになります。
電動バイク時は原付第一種、自転車時は普通自転車として、道路交通法において1台の車両が2つの法律上のカテゴリーの切り替えを認められることになります。これは、サンドボックス制度を活用のうえglafitが認められた措置になります。』
仕組みは極めて単純、自転車として乗るときは、後部のナンバープレートが隠れるようになっているのです。
手品ではありませんが、種を明かせば、拍子抜けするほど簡単なカラクリです。
しかし、”ナンバープレートを隠せばいいじゃないか”というアイデアは、思いついたとしても、なかなか現実できるものではなりません。
「モビチェン」特許取得の出願書は14ページに及び、そこに至るまでに並大抵ではない苦労があったことは、容易に想像できます。
ただ懸念されるのは、 「モビチェン」 のアイデアの表面だけ安易にパクって、真似する輩が出現しないかということ。
たとえば、街中で時々見かけるようになった、電動キックボード。
よく見ると、ヘルメットをしないで運転している人はいないでしょうか。
じつは、一部の電動キックボードでは、ヘルメットの着用が任意となっているのです。
ただしそれには、つぎのような条件があります(21/06/28現在)。
・特定のエリア内での走行に限る
・最高速度は15km/hまで
・小型特殊自動車を運転できる免許※を携帯している
・実証実験参加を認められたシェア事業者の電動キックスケーターである
※ヘルメットなしの場合、原付免許では運転できない
つまり、
”条件付きで一部の電動キックボードのみヘルメットなしでの運転が認められている”
のですが、条件の部分をすっ飛ばして、
”電動キックボードはヘルメットなしで乗れる”
と勝手に解釈して、違法に電動キックボードを乗りまわす利用者が存在するのです。
これと同じように、画期的な発明である「モビチェン」のアイデアだけいただき、
”ナンバーを隠せばバイクは自転車扱いになる”
とばかり、道端にバイクを停め、ナンバーを隠して、駐車監視員の確認をまぬがれようとする輩も現れるかもしれません。
実際、駐車監視員は、ナンバープレートに手をふれて、番号を確認するような作業はできないので、この企てはうまくいくかもしれません。
ただ、いざとなれば駐車監視員は、警察に来てもらうことができるので、確信犯的な駐禁逃れに失敗したバイクの持ち主は、手痛いしっぺ返しをくらうことになるでしょうが・・・