(初出:20/06/29)
Amazonが本気を出してきました・・・
実用化に向けて着々と進化する”空飛ぶクルマ”(参考記事)と並び、業界を問わず、さまざまな企業が参入の機会をうかがっているのが、AIによる車の”自動運転”技術。
その顔触れはというと、日本で判明しているだけでも、トヨタ(参考記事)を筆頭に、NTT(参考記事)、ソニー(参考記事) アマノとアイシン精機(参考記事)など錚々たる顔触れ。
そして海外では、グーグルが自動運転に力を入れているとして有名です。
米グーグルを傘下に持つアルファベットは近年、自動車産業にとって脅威と見なされている。グーグル時代からAI(人工知能)を駆使した自動運転車の開発で世界をリードしてきたからだ。自動運転部門は現在、「ウェイモ」として子会社化されている。AI技術では当然、グーグルなどアルファベット傘下企業と二人三脚の体制を築いている。
出典:日経新聞ウェブサイト 20/01/20 「自動車産業の「破壊者」米ウェイモの正体」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54423040V10C20A1000000/
なによりグーグルは早くから、車関連の技術としてスマートフォンがカーナビ代わりになってしまうサービス「Google Maps」を無料で提供し、世界をあっといわせた実績があります(参考記事)。
しかし先日発表された”自動運転”に関する報道で主役となったのは、グーグルではありませんでした。
米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは26日、自動運転技術開発の米ズークス(Zoox)を買収すると発表した。アマゾンは無人配送など物流網の効率化へ投資を強化しており、有力スタートアップ企業の買収で先端技術分野での優位性を高める。
出典:日経新聞ウェブサイト 20/02/26 「Amazon、自動運転の新興企業を買収 1300億円超か」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60885580W0A620C2I00000/
じつはAmazonは、今年(2020年)1月にも、”自動運転”技術のベンチャーに投資しています(参考記事)。
それから半年とたたずに、今回の買収話。
ほかにも、公になっていないだけで、水面下でさまざまな動きをしているはず。
新型コロナウイルスによる外出自粛はほとんどの業界に被害を与えましたが、ネット通販がメインのAmazonは、日用品を中心に逆に売上を伸ばしました。
ただ、その分、かさんだとされるのが流通コスト。
米アマゾン・ドット・コムは1-3月(第1四半期)決算で減益を発表するとともに、4-6月(第2四半期)は赤字になる可能性を明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大で物流業務の円滑な運営を維持するための支出が増えていると説明した。
出典:Bloomberg 06/05/01 「アマゾン、4-6月赤字になる可能性-新型コロナ関連費用増大」https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-30/Q9MBBDT0G1KW01
今回の買収も、そうした物流問題に対する解決策の一環とみられます。
あるいは、GoogleやFacebookといったライバル企業がプライバシー保護問題などで元気がない今がチャンスと見たのかも。
Amazonの”自動運転”技術が実用化されたとして、配達地域に運ぶ荷物を巨大なトラックに全部積み、自動運転で移動中の車内で、作業員に仕分け作業などをやらせるといった働き方をさせることもできるようになったりします。
このやり方だと、運転手はいらず、また、移動時間を倉庫内の作業時間にあてられるため、全体として配送時間の短縮が見込めます。
従業員を秒単位で管理し、極限までムダをはぶくには、うってつけの運送手段といえます。
ただ、こうした”自動運転”が実現したとして、労働環境としてはかなり過酷なので、当初は人間がやるにしても、いずれ、車内の仕分け作業もAIが担当するようになるでしょう。
さながら、移動する倉庫です。
もっとも個人的には”自動運転”は、まずはもっと身近なところ、たとえば駐禁の場所にはぜったい停車しない”自動運転”車の登場を期待します・・・