終結、レンタカー裁判(罰金:令和248)

(初出:22/01/25)

終結、レンタカー裁判・・・

ついに最高裁にまでもつれこんだ、レンタカー裁判。

裁判の経緯を説明すると、つぎの通りです。

2006年放置違反金制度が導入されて以来、レンタカー業界の頭を悩ませているのが、駐禁をとられたレンタカー利用者が黙って車を返却して逃げてしまう、バックレ問題。

ある程度日数がたって、レンタカー会社に放置違反金の仮納付書が送付されてきて初めて、「やられた!」と分かる、悪質な行為です。

最初にこの問題をとりあげた記事※1によれば、2006年半年あまりで400件弱の被害が報告されました。

1年半たったころには被害は計4900件、数千万円※2にまで膨らみ、たまりかねた全国レンタカー協会は、2007年12月、悪質な利用者のデータを加盟各社で共有する制度を開始※3。

ありていにいえば、ブラックリストを作ったわけです。

でも、いくらブラックリストを作ったところで、 全国レンタカー協会に未加入のレンタカー会社は利用できませんし、また、海外からの旅行客が駐禁をとられた場合など、放置違反金の仮納付書が送られてくるころには日本にいなかったりするわけで、どうにもなりません。

そこで各社、レンタカーに会社名と連絡先を記したシールを貼り、違法駐車を確認したら連絡してもらうよう警察に要請する、レンタカー返却の際、違反した客に反則金相当額を徴収できるという項目を貸渡約款に追加するなど、さまざまな対応をとりはじめました。

それでも被害はおさまらず、レンタカー会社がドライバーの肩代わりをして放置違反金を支払うケースは、今でも年間約400~600件にものぼるといわれます。

こうした中、”駐禁をとられた時点で、車の占有権のないレンタカー会社が放置違反金の納付義務を負うのはおかしい”と、岡山のレンタカー会社が起こしたのが、今回の、”利用者の「放置違反金」を納める義務を負うのはだれか”裁判※4です。

が、一審の岡山地裁では、原告レンタカー会社の主張は認められず、訴えは棄却されました(21年2月)。

訴えが棄却された理由は、レンタカー会社は車を貸すことで利益を得ているのだから利用状況を管理すべき、というもの。

諦めずに高裁に控訴※5したものの、再び請求は棄却(21年7月)。

請求が棄却された理由は、一審と同じで、レンタカー会社は車を貸すことで利益を得ているのだから、利用状況を管理する責任があるというもの。

その、高裁判決から半年。

ついに最高裁にまで持ちこまれた裁判の判決が、確定しました。

レンタカーの放置違反金の支払いをめぐり、貸し出したレンタカー会社が納付命令の取り消しをもとめた裁判で、最高裁第三小法廷は会社側の上告を棄却・不受理とする決定を下した。

出典:弁護士ドットコムニュース 22/01/24 「放置駐車の違反金、レンタカー会社の支払い確定 最高裁が上告棄却」 https://www.bengo4.com/c_18/n_14042/

丸一年に及んだ裁判は、これにて終結。

レンタカー会社の主張は、ついに認められることはありませんでした。

おかげで、
「バックレ問題は、そっちでよろしく」
と、あらためて対応を丸投げされた格好になった、レンタカー会社。

今後、さらに厳しい自衛策を講じるレンタカー会社も出てくるかと思いますが、そうなると、とばっちりを受けそうなのが、カーシェアリング業界です。

車をレンタルするハードルがあがり、利用できなくなったドライバーが、カーシェアリングに流れる可能性があるからです。

しかし、カーシェアリングはカーシェアリングで、過去に、さまざまなトラブル※6が報告されています。

レンタカー難民が押し寄せたなら、新たな需要とともに、前例のない厄介ごとが発生するかもしれません・・・

※=参考記事:
※1 レンタカー会社受難
※2 レンタカー会社受難2
※3 レンタカー会社受難3
※4 業界大注目の駐禁裁判の行方
※5 無念の判決、レンタカー会社
※6 ”借りパク”カーシェア

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