■駐禁の仕組み2(放置違反金、滞納処分)■

(初出:20/02/02)

じつは複雑な駐禁の仕組みについて、参考までにおおまかにまとめました。
記載内容は2020年2月時点のもの、またあくまで参考ですので、詳しくは警察HPを参照ください。


駐禁をとられた場合、運転していた人が警察署に出頭すると、 行政処分点数が付せられ、反則金を納付する(参考記事)ことになりますが、出頭しないと、運転していた人ではなく車両の使用者(車検証に記載されている持ち主)に、反則金ではなく放置違反金の仮納付書と弁明通知書が送付されてきます。

弁明通知書とは、”やむを得ない事情”により駐車していたので処分を取り消してほしい場合、その”やむを得ない事情”を書いて送るものですが、「トイレに行っていた」などの説明はほとんど認められません(参考記事)。

放置違反金の金額は、運転していた人が納付するはずだった反則金と同額です。
駐禁をとられて出頭した場合と出頭しない場合の違いはつぎのとおり。

出頭した場合出頭しない場合
対象運転していた人車両の使用者
行政処分点数 付せられる 付せられない
納付するもの反則金放置違反金
納付しないと刑事訴訟手続
又は少年審判手続
車検拒否・
滞納処分
弁明機会あり機会あり

自分の車を運転していて駐禁をとられ、「おれ、ゴールド免許だし、出頭したくないな」という人は、出頭命令を無視して、放置違反金を納付しようと思うかもしれません。

この場合、注意が必要なのは、放置違反金の仮納付書がいつ送付されてくるか、”〇〇日以内に発送する”という決まりがないことです。おおむね1週間から10日くらいが目安といわれますが、3日くらいでくるケースもあれば、場合によっては、全然こないことも。

駐禁をとられた場合、運転していた人が出頭して反則金を納付するのが本来ですが、運転していた人が責任を果たさないので、車両の使用者に責任をとってもらうというのが放置違反金のスタンス。
「免許の点数がつかなくてお得な制度はないか」といった要望に合わせて設けられたわけではないため、まずは違反者の出頭を待つということなのかも知れません。

ただ、確認標章が取り付けられた日の翌日から30日以内に反則金納付、公訴提起等がなされない場合、車両の使用者に「放置違反金納付命令」が出され、「放置違反金納付命令書」と「放置違反金納付書」が郵送されるのですが、それすら届かず、うんともすんとも連絡がない場合は、関係機関に問い合わせしたほうがよいかもしれません。

というのは、 なにかの手違いで、 放置違反金の仮納付書が送付されているのに手元に届かなかった場合、放置していたとみなされると、処分があるためです(もちろん、仮納付書が届いているのに放置していても処分されます)。
放置違反金にまつわる処分はつぎのとおり。

放置違反金を納付しない場合
1、督促状が送付される
2、納付するよう電話連絡がある
3、出頭命令が出される
4、車検拒否される
5、滞納処分がくだされる
6、逮捕される
※(共通)放置違反金に年利14.5%の延滞金加算
※(納付後注意)
「放置違反金」納付証明書は車検の際に必要なことも

4の車検拒否(参考記事)とは、文字通り、車検に出しても通らなくなってしまうことで、車検切れの車に乗り続けたら違反点数6点、30日間の免許停止、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金などの重い罰則があります。

また5の滞納処分とは、財産の差し押さえなどですが、差し押さえられるのは、銀行口座だけではなく、警察が自宅まできて家宅捜索されることもあります(参考記事)。ちなみに06年度のケースでは、放置違反金納付を命じられてから4ケ月後に「最終催促状」が送付され、それでも納付しなかったため、翌月銀行口座が差し押さえられました(参考記事)。

6の逮捕は、以前は出頭命令を6回無視していると逮捕されるケースが多かったですが、最近では5回でも逮捕されているようです(それより少ない回数での逮捕もありえます)。
また、納付していない放置違反金の金額の多い少ないに関係なく逮捕されることがあります(参考記事)。

1~3を無視すると4~6どれかの処分になる可能性があるわけですが、どの処分になるかは自分では選べません。
ただ、どれになったにせよ、歓迎すべき事態ではありません。

放置違反金を納付し、「これですっきりした」と身軽になったほうが精神衛生上いいに決まっていますが、ただ、放置違反金制度は必殺技のようなもので、続けて何回も使える手段ではありません。

それについては■駐禁の仕組み3(使用制限処分)■を参照ください・・

点数/違反普通車大型車等
(3点)
放置駐車違反
車禁止場所等
18,000円25,000円
(2点)
放置駐車違反
駐車禁止場所等
15,000円21,000円
(1点)
駐停車違反
車禁止場所等
12,000円15,000円
(1点)
駐停車違反
駐車禁止場所等
10,000円12,000円
点数/違反二輪車原付
(3点)
放置駐車違反
車禁止場所等
10,000円10,000円
(2点)
放置駐車違反
駐車禁止場所等
9,000円9,000円
(1点)
駐停車違反
車禁止場所等
7,000円7,000円
(1点)
駐停車違反
駐車禁止場所等
6,000円6,000円

※参照「■駐禁の仕組み1(行政処分点数、反則金)■」

※「駐車監視員」の活動については下記ページで確認できます(一部PDF)。
全国|駐車監視員ガイドライン