駐禁由来の死亡事故、”無罪”(その他:令和207)

(初出:21/05/01)

死んでもなお、過失が問われる、駐禁由来の追突車ドライバー・・・

違法駐車中の大型車に追突し、亡くなるドライバーが後を絶ちません(参考記事:だからやめて、違法駐車)。
しかし、あまり知られていないのは、追突した車のほうの責任問題です。

つぎのような報道がありました。

昨年7月、野々市市の市道で駐車禁止区域に大型トレーラーを駐車し、追突した乗用車の男性=当時(46)=を死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われたトレーラー運転手の男性被告(47)=大阪府=の判決公判は8日、金沢地裁であった。白井知志裁判官は「追突を予見するのは困難で、過失は認められない」とし、無罪を言い渡した。

出典:北國新聞DIGITAL 21/04/09 「駐車中に車追突、死亡 トレーラー男性無罪 金沢地裁「予見は困難」」 https://www.hokkoku.co.jp/

今回の裁判では、亡くなった追突車ドライバーの注意義務違反こそ認められませんでしたが、事故の原因となった駐禁車両の責任も認められませんでした。

記事を読むかぎり、乱暴ないい方をするなら、道ばたで休んでいたトレーラーより、前を見ないでつっこんだ車のほうが悪いというような印象の判決です。

しかし違和感があるのは、それを聞いて、「つぎからは前方に気をつけて運転します」と反省するドライバーが、すでにこの世にいないという事実。

遺族にしてみれば、受け入れがたい内容なのではないでしょうか。

しかし今回の裁判が、異例の判決ではないことは、「駐車違反 事故 責任」などのキーワードで調べると、そうした判例がいくつも出てくることから分かります。

結論からいえば、基本的にこうした事故の場合、過失割合は100対0でぶつけた側に非があると判断されるのです。

こうした事実を知ったうえで、下記のような記事を読むと、背筋が寒くなる人も多いのではないでしょうか。
参考:YAHOO!ニュース 21/04/13 
「世間が知らない「高速道路でトラックに路駐させる深夜割引の功罪」(https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotoaiki/20210413-00232002/)

深夜、高速道路の路肩には、追突したほうの責任を問われる、トラップのようなトラックが路駐している可能性が高いのです。

こういう報道に接するたび・・・

緊急事態宣言の影響で、ヒマをもてあましている駐車監視員がいるなら、そうした現場に配置すればいいのにと、あらためて、駐車監視員制度の改正(参考記事:硬直した駐車監視員システムの限界)を期待してしまいます・・・