数字で見る、駐禁車両の減少3(取締:令和259)

(初出:22/02/14)

数字で見る、駐禁車両の減少・・・

前回まとめた、放置車両確認標章(駐禁ステッカー)を取付けた数の推移を見てもわかるように、駐禁車両は、年々減少しています。

では、現状の体制でいけば、駐禁をめぐる問題は、すべて解決するのでしょうか。
個人的には、まだ、問題はあるような気がします。

たとえば、放置違反金について。

駐禁ステッカーを貼られたら、警察署に出頭して反則金を納付するか、送付されてくる放置違反金の仮納付書を使って納付するか、の二択となりますが、中には、これらをガン無視する車の所有者がいます。

駐車監視員制度導入翌年、警察庁が発表した「事業評価書 新たな駐車対策法制の導入」という事業評価書の中で、そうした車の所有者についての報告がありました。

なお、施行後1年間における滞納処分等の執行状況については
○ 滞納処分件数 1,756件
○ 車検拒否件数 10,364件
○ 使用制限命令件数 1,389件
であった。

引用:警察庁 2007年12月 https://www.npa.go.jp/policies/evaluation/04jigo-hyouka/jigyo_hyouka/07parking/191220-4.pdf

”滞納処分”とは、放置違反金を納付しない車の所有者に対し、財産の差し押さえなどを行うこと。
”車検拒否”とは、放置違反金を納付しない車の車検が通らないようにすること。
”使用制限”とは、放置違反金を納付していても、短期間に何度も同一車両が違法駐車を確認された場合、その車両を一定期間使用できないようにすること。

この年の”滞納処分”件数は、1,756件と割と少なめですが、”滞納処分”の原因は、放置違反金未納。

放置違反金未納に対して行われるのは、まず電話や郵便などでの督促で、すぐには”滞納処分”はくだされないことが多いです。

そして、放置違反金未納の時効は、5年。

つまり、督促して納付されるのを待っているため、”滞納処分”がくだされなかった放置違反金未納分が、以後4年に渡って順々に処分されていく可能性があるということです。

しかも件数は毎年新たに積み重なっていきますから、年数が経過すると、えらいことになります。

たとえば、2014年度大阪では、累積した徴収不能額が19億5千万円にものぼったという報道があったくらい、放置違反金の未納問題は深刻化しているのです(参考記事:通天閣を飛び越えて)。

駐車監視員は、違法駐車を確認するだけで、放置違反金の回収はしませんから、”滞納処分”を行うのは警察。

じつは駐車監視員制度が導入される以前、駐車違反取締りには、警察の約1,200人の人員が充てられていましたが、駐車監視員に業務を民間委託することにより、約500人ほどを削減できる見込みだったといわれます(参考記事:警察も楽じゃない!?)。

しかし、放置違反金回収に人員を割いたら、また、警察の負担が増えるだけです。

さらに、変化のスピードが速い現代、車を取り巻く状況は、ガソリン価格の高騰、EV車・電動キックボードなど次世代モビリティの普及、コロナ禍による交通量の変動など、刻々と変化しています。

今後、駐禁にまつわる様々な問題が、どのように解消されていくのか、引き続き「駐禁.com」では追っていきたいと思います・・・

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