それ、相手が警察官だったらやりませんよね(令和287)

(初出:23/02/21)

それ、相手が警察官だったらやりませんよね・・・

駐禁をとられたからといって、すぐに逮捕されることはありません。

緑の制服を着た駐車監視員、または警察官に駐禁ステッカーを貼られたあと、なにもしなかった場合の流れは、つぎの通り。

・駐禁をとられる
 ↓
・警察署に出頭しない(反則金を納付しない)
 ↓
・放置違反金納付書が送られてくる(納付しない)
 ↓
・督促、電話による催促がくる(納付しない)
 ↓
・出頭命令が出される(出頭しない)

と、ここまできて、このあと、”悪質”と判断されると、逮捕されることがあるのです。
(参考記事:駐禁の仕組み2

ただし最近の報道を見ていると、逮捕しても未納だった放置違反金が納付されるわけではないので、逮捕ではなく、滞納処分が下されることのほうが多いようです。

滞納処分とは、財産の差し押さえなどされること。

もっとも、上記はあくまで、駐禁”だけ”とられた場合のお話。

そうではなく、ときどき報道されるのは、駐禁をとられたのをきっかけに、駐車監視員に暴行を働き、逮捕されるケース。

2006年6月に駐車監視員制度が開始後すぐ、駐車監視員を蹴って逮捕されたアルバイト店員を皮切りに、駐禁.comでは何度も、駐車監視員にからんで逮捕された事件を取り上げましたが、全国で同じような事件が続き珍しくなくなったせいか、しばらくすると、ほとんど報道されなくなりました。
(参考記事:ベタ記事にもならない?

しかし0になったわけではなく、今でもみせしめのように、ニュースが流れることがあります。

つぎのような記事がありました。

逮捕容疑は15日午後1時50分ごろ、川口市西川口1丁目の路上で、駐車中の車両の確認作業をしていた男性駐車監視員(59)にたばこスティックを投げ付け、体を押し付けて転倒させた疑い。

出典:埼玉新聞 23/02/18 「激高…迷惑駐車の監視員、車にステッカー張る瞬間、降りてきた会社役員タバコ投げる 突き飛ばし「態度が」」https://www.saitama-np.co.jp/news/2023/02/18/02_.html

駐禁ステッカーを貼られた場合、ほぼドライバー側が悪いに決まっています。

駐車してはいけない場所に車を停め、その場を離れていたことが確実だからです(車に人が乗っている場合、駐車監視員は駐禁ステッカーを貼ることはできません)。

車が故障したなど、やむにやまれぬ事情があって違法駐車したのなら、そのことを警察で弁明するなり、放置違反金仮納付書と一緒に送付されてくる弁明書に記載して提出すればよいのであって、その場で駐車監視員を突き飛ばすというのは、やつあたりといわれても仕方ありません。

では、激情に身をまかせて、逮捕されてしまった男性はどうなるかというと、おそらく公務執行妨害容疑で裁判にかけられます。

そして、これまでの判例をみると、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)という判決が下されることが多いようです。
(参考記事:「第三の男」犯罪者に・・・

過去に何度も駐禁を繰り返していたのでなければ、駐禁ステッカーを貼られても、無視して、やがて送付されてくる放置違反金さえ納付していれば、免許の加点もなく、当然ながら前科もつくことがなかったのに、カッとなってやらかしたというには、重すぎるともいえるペナルティ。

じつは駐車監視員は、”みなし公務員”という立場にあり、警察官と同じように法律によって保護されています。

そのため駐車監視員は、”公務”を行っていることになり、その業務を妨害すれば、今回のように、公務執行妨害に問われるのです。

思わぬ駐禁ステッカーに抗議したくなる気持ちは、よくわかりますが、駐車監視員には、一度貼った駐禁ステッカーを剥がす権限はありません。
(参考記事:抗議してもムダな駐禁

また、手を出さずとも、カッとなって駐車監視員に悪態をつくと、脅迫したとみなされ、それだけで逮捕されることすらあります。
(参考記事:駐禁は災いの元?

駐車監視員が相手だと、なめてかかりがちですが、相手が警察官だったらやらないような行為はしないほうが賢明だといえます・・・